何だかんだと雑用を押し付けてくるコトメとコウト、共に今年30歳。 
何の番組で見たか知らないけど、コウトが 
「会社に弁当を持っていくことにした。そういうマメな男がモテる 
とテレビでやっていた。だからつくれ」(意訳)と言い出した。 
それを聞いたコトメまで 
「マメな人間こそモテる世の中。だから私の分もつくれ」(意訳)と乗っかった。 

またバカなことを、とぶち切れかけた旦那を宥めるウト。 
でもそれをぶっちぎって、 
「あんた達、本気でそれ言ってる？」と以下のようなことを説教してみた。 
・ついこの間まで、洗濯もアイロンのかけ方も知らず、シワシワで襟袖が 
　黄色くなったシャツを着ていた人間(コウト)が、弁当を食べようと誘っても 
　ついてくる女なんていない。 

結婚してから10年以上たったある日、
旦那がとても若くて可愛らしい女性を連れてきた。
彼女も不妊で子供を産めない体らしい。
｢僕を理解してくれるのは彼女だけ｣
と彼女の華奢な手を包み込む旦那はとても幸せそうだった。

私と行った旅行先で彼女と出会ったらしい。

不妊がわかってから塞ぎこんでいた旦那を私はよく外に連れ出していた。
旅行、ピクニック、ハイキング、動物園、美術館、博物館…
子供が居なくても楽しいことは沢山あるんだよってことを知ってほしかったから。
辛い記憶を楽しい思い出に塗り替えてあげたかった。